公開にあたり制作を振り返って

拙作インペリアライザーを無事に公開することができた。皆様はすでにダウンロードして遊んでいただけただろうか。 あるいは面白いゲームか見極めようと情報を集めながら様子を見ている方もいるかもしれない。

本記事は作者が制作を振り返るだけの内容である。ゲームの内容についてと言うよりは、作者自身の事、あるいはゲーム制作そのものについての話題が多いが、 多少なりとも好奇心を刺激できれば幸いである。

早速だが、まずは本作を作るにあたり影響を受けた作品を挙げてみようと思う。

 

あなたの好きなゲームはあっただろうか。どれも珠玉の名作であるから未プレイの人はやってみるのもいいかもしれない。
他にも挙げるべきものがあるかもしれないので、思い出したら追記しておく。

なお影響とは、まさにゲーム性に強く惹かれたものから、フリーゲームでもここまで凄い物を作る人がいるのか!とモチベーションの意味で影響を受けたものも含んでいる。

 

ゲーム内容ではできる限りオリジナリティを出そうと努力はしたが、あるいはお手本の残り香が気になる人もいるかもしれない。 特にスキルなどは開発初期、ベルウィックサーガのシステムの再現を目指していたこともあり、非常に似通ったものがあるのは認めざるを得ないところだ。 作者としては悪意ある盗用の意図はなく、SRPGとして優れたシステムへの敬意を表したつもりではあるが、厭わしく感じられた方がいたらこの場を借りて謝っておきたい。

さて、このプロジェクトは理想のSRPGを追求したいという動機から始まった。 そのため既存のツールから作れるものではなく、プログラムを自身で組むことから始める必要があったわけだが、様々な問題が懸念された。

まず作者はまともにゲームを作ること自体が初めての人間である。子供の頃、RPGツクールシリーズの古いものでネタのようなゲームを作ったことはあったが、ごく短いものであったし、公開できるようなものでもなかった。 また理想のSRPGを目指す以上、プログラミング、シナリオ、音楽、グラフィック、演出などのすべてを手がけたいと思ったが、そのすべてにおいて作者は何の実績もない素人である。 少しは趣味で齧ったものもあるが、基本的にアマチュアでの活動経験すらない。 開発言語としてRubyを選んだが、これもプログラミング言語のことが何も分からなかったので、なんとなく語感のお洒落なものを直感で選んだだけというのが理由である。

そういった次第で結構な年月をかけてはいるものの、その大半は勉強と試行錯誤に割いており、クオリティアップに費やせた訳ではない。 あるいはもう数年をかければより完成度は高まっただろうが、モチベーション的な意味でそろそろ限界が来る予感があったので断念した。

 

とはいえ最善は尽くしたと自負できる。公開までの開発期間は9年ほどとなったが、その間に長期の休止期間もなく、牛歩ながらも制作を続けてきた。 改めて完成品を眺めて反省点となる部分は勿論あるが、自分としては概ね満足している。足るを知るべきところであろう。

少し自己弁解が多くなった。結局何が言いたかったのかというと、当初の「理想のSRPGを作る」という目標はほぼ自分の中では達成できたということだ。 もし本作を「先行体験版」などからご存じの方なら、その洗練の過程は評価してもらえることだろう。 本作はフリーウェアとしての提供であるから、手に取るのは簡単である。どのような作品であるかはぜひ皆様自身の目で確かめていただきたい。 特にSRPGというジャンルに愛着のある同好の士に刺さるものがあれば、制作の苦労も報われるというものだ。

さて、公開するという目標は達したが、これからまだ様々なバグ、不具合の報告があるかと思うので、気を抜きすぎないように心がけようと思う。 作者としては大体の機能は実装したつもりではあるが、ver.1.00までは更新を重ねるため、拡張機能を追加できる余地もある。 何かご意見をお持ちの方は、専用の報告ページがあるのでそちらに書いてもらえれば検討させていただく。

最後に、 理想のSRPGを作るという動機から始まったこのプロジェクトは、最初で最後のゲーム制作のつもりで一球入魂するつもりであった。 しかし作業を続ける内に、なかなかゲーム制作も楽しいものだと思えるようになった。 IMPERIALIZERの開発はそろそろ区切りをつけるとしても、ゲーム制作自体はもう少し続けられそうだ。 また、理想のSRPGというなら「高さの概念」も欲しかったなと今にして思うところもある。これは次回作への課題ということだろう。

そういった次第で、今後とも渡鳥之の活動を応援していただければ幸甚の至りである。